保育環境はどう見直す?子どもの姿から次の遊びにつなげる環境構成

保育の環境構成を考えるとき、「何を置くか」「どのようにコーナーをつくるか」と、活動前の準備に意識が向くことがあります。

けれども、環境を用意した後、子どもが何を見て、何に触れ、どのような遊びを始めたかまで捉えられているでしょうか。

保育環境は、一度つくって完成するものではありません。子どもの姿を見て、その時の興味や今できることに合う環境を用意し、そこで見られた姿からまた次を考えるものです。

今回は、大分県大分市内のこども園研修「子どもの姿から、環境を考える」で扱った実践をもとに、子どもの「今」を環境構成へつなげる視点を紹介します。

目次

保育の環境構成は、つくって終わりではない

環境を考える出発点は、子どもの姿です。

あらかじめ決めた活動へ子どもを導くことだけではなく、子どもが今どこを見ているのか、何に手を伸ばそうとしているのかを捉えます。その姿を受けて、位置や高さ、素材、用意する物を考えていきます。

環境を整えた後も、子どもの反応を見ます。興味が続いているのか、別のことを始めたのか、扱いにくそうなところはないか。そこで見えたことが、次に環境を見直す手がかりになります。

つまり、環境構成は「準備して実施する」で終わるものではありません。

子どもの姿を見ることと、環境を変えることを行き来しながら、その時の子どもに合う場を考え続ける実践です。

子どもが何に心を向けているかを見る

0歳児クラスでは、位置や高さ、揺れや動きなど、わずかな違いによって見られる姿が変わることがあります。

研修で扱った実践の一つに、気になるカーテンへ手を伸ばそうとした子どもの姿がありました。その子は、一生懸命に体を起こし、それまで見られなかったつかまり立ちをしました。

この事例から分かるのは、カーテンを置けばつかまり立ちができるということではありません。

目の前の子どもが「見たい」「触りたい」と心を向けているものを捉えることが、環境を考える出発点になるということです。同じ年齢でも、一人ひとりが気になるものや、無理なく関われる位置は異なります。

環境を見直すときは、大人が見せたいものだけではなく、子どもの視線や指差し、手の動きにも目を向けます。子どもがすでに見せている姿の中に、次の環境を考える材料があります。

興味のそばに、実物や絵本を用意する

子どもの興味を見つけたとき、すぐに大がかりな活動へ発展させる必要はありません。その関心のそばに、実物や絵本、扱える素材を置くことから始められます。

あるクラスでは、園庭でダンゴムシやアリを見つめる子どもたちの姿がありました。保育者はカブトムシを用意し、虫の絵本を集めたコーナーをつくりました。

カブトムシを見た子どもは、虫の絵本を持ってきて「これだね」と、実物と絵を結びつけました。ほかの子どもたちも虫のページを開き、虫の名前を口にしながら見比べていました。

ここでは、保育者が虫について一方的に教えたのではありません。子どもたちが虫へ向けていた関心を捉え、その興味が続くように実物と絵本を用意しています。

子どもの姿を見た後に「次はどんな活動をさせよう」と急いで答えを決めるのではなく、その子がもう少し見たり、比べたりできるものを考える。そうした小さな応答も、環境構成の一つです。

その後の姿から、次の環境を考える

子どもの興味は、用意した環境の中でさらに動いていきます。そのため、最初のねらいどおりに遊んだかだけではなく、そこから何が始まったかを見ることが大切です。

セミ捕りに夢中になっていた子どもたちの姿を受け、保育者がセミの絵本とコーナーを用意した実践がありました。

子どもたちは絵本を手がかりに、セミの抜け殻の種類を調べました。そこから折り紙でセミを作り、セミをとまらせる大きな木や、ほかの虫も作り始めました。

翌日には、画用紙を使って自分たちで虫網と虫かごを作り、虫捕りごっこを始めています。

この実践では、保育者が最初から一連の活動をすべて計画し、用意していたわけではありません。セミへ心を向ける子どもの姿を捉えて絵本と場を用意し、その後に生まれた制作や遊びを見ながら環境を育てています。

環境を用意した後に予想とは違う姿が見られたとしても、それを失敗と決める必要はありません。その姿を「次に何を置くか」「何を残すか」「どの遊びを続けられるようにするか」を考える材料にできます。

環境を足すだけでなく、分かりやすさも整える

環境を見直すことは、物を増やすことだけではありません。子どもが見て分かり、自分で扱いやすい状態になっているかを考えることも含まれます。

2歳児クラスのかき氷屋さんごっこでは、味と色を対応させ、子どもがイメージしやすいようにしていました。素材も、子どもがスプーンですくいやすいものが選ばれていました。

その環境の中で、子どもたちは食べる真似をしたり、友達や保育者に食べてもらおうとしたりしました。「イチゴ味のかき氷をください」と、店でのやりとりも始まりました。

華やかに飾ることや、多くの道具を用意することが目的ではありません。子どもにとって分かりやすいか、自分で扱えるか、遊び方をイメージできるかという視点で整えると、必要なものと減らせるものが見えてきます。

環境を考えるときは、「何を加えるか」と同時に、「今あるものをどう分かりやすくするか」にも目を向けたいところです。

園全体で共有したいのは、環境の完成形よりも子どもの姿

同じ環境をほかのクラスへそのまま取り入れても、同じ姿が見られるとは限りません。子どもの興味や今の姿が異なるからです。

園内で環境構成を振り返るときは、完成したコーナーの見栄えや準備物だけでなく、具体的な子どもの姿を共有することが大切です。

  • どの子が、何を見ていたか
  • 何に指を差し、手を伸ばしていたか
  • 用意した後、どのような遊びが始まったか
  • 扱いにくそうな物や位置はなかったか
  • 子どもの興味や遊びを続けられるように、何を残し、何を変えられるか

こうした点をもとに話すことで、環境構成を「正しい配置を決めること」ではなく、目の前の子どもに合わせて考え続ける実践として捉えやすくなります。

大切なのは、すぐに完成形をつくることではありません。子どもの姿を見ながら、小さく変え、その後をまた見ることです。

まとめ|子どもの「今」が、次の環境を教えてくれる

保育環境は、一度整えたら終わりではありません。

子どもが何を見て、何に触れようとしているかを捉える。興味のそばに実物や絵本、扱える素材を用意する。そして、そこで生まれた姿を見ながら、次の環境を考える。この積み重ねが、子どもの今に合う環境構成になります。

大がかりな変更から始めなくても構いません。今日、子どもがじっと見ていたものや、繰り返し触れていたものを一つ思い出すことが、環境を見直す入口になります。

関連記事として、同研修の講演編をもとにした「子どもの『困った行動』をどう見る?園全体で共有したい保育の視点」もあわせてご覧ください。

エシカル・エデュケーションでは、それぞれの園の課題やご希望を伺いながら、園内研修・講演を行っています。子どもの姿を起点とした環境構成や日々の保育実践について詳しく知りたい方は、保育実践のページをご覧ください。

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